危機管理広報

プロの目③ 謝罪会見はなぜ必要なのか?

謝罪会見がなぜ必要なのか、考えたことはあるでしょうか。万が一、会社で大きな不祥事が発生・発覚した場合、広報担当者は記者会見を念頭に対応する必要があります。
 今回は、改めて謝罪会見の目的とゴールについて考えます。

謝罪会見と聞いて、みなさんは何を思い出すでしょうか。
 おそらく「あれはひどかったなあ」という会見の映像を思い浮かべた人が多いのではないでしょうか。私は某乳業メーカー社長が「私は寝ていないんだよ!!」と怒鳴ったシーンをいまだに覚えています。当時中学生でしたが、テレビを見ていて子どもながらに「ひどい会社だな。このメーカーの製品は使いたくないな」と感じたものです。
 このように後々まで記憶に残る会見や対応は、 残念ながら危機管理広報としては失敗といえるでしょう。
「そんなことになるなら会見なんか開かなければいい」と思うかもしれません。しかしそれは大きな間違いです。なぜなら、謝罪会見を開かないことで重要なステークホルダーが不安を覚えたり、会社に対し不信感を持ったりしてしまっては、会社のレピュテーションが大いに下がってしまうからです。
 つまり、謝罪会見を開く目的は、謝罪すべき対象や不安を抱えるステークホルダーに対して誠心誠意を見せ、レピュテーションの低下をできるだけ抑えることなのです。

どんな不祥事でも会見をすべきかと言ったら、そうではありません。事案の大小や影響を考慮して適切な対応を決めていくことになります。
 そして検討の末会見を開くことを決定した場合、重要なポイントは「トップが適切な姿勢で会見に臨めるか」です。ここを誤ってしまうと、会見は致命的になってしまいます。

こうした意識付けは何か起きてしまってから始めるのでは少々遅すぎます。どうしても、いざという時になると日頃の思考や癖が出てしまうものです。平時からトレーニングやセミナーを通して、トップに適切な危機意識を持ってもらうことが重要です。

2022/09/15