プロの目⑤ 学校法人の不祥事の3類型、その傾向と対策<前編>
― 2022年「熊本・秀岳館高校サッカー部」の不祥事事例からの教訓、学校法人への提言 ―
1.最近の学校法人の不祥事事例
エイレックスでは、学校法人の危機管理広報も支援しており、危機事例のケーススダディとしてまとめています。2022年の学校法人の不祥事の代表的なものは以下の通りです。 今回のブログでは「熊本・秀岳館高校サッカー部のコーチによる暴行動画拡散」を取り上げ、事案の紹介と、事例から学ぶべき教訓を紹介します。また、近年の学校法人の危機を大きく3つに分類して学校法人として留意すべきポイントを紹介します。株式会社や医療法人、行政機関なども参考になる点があるでしょう。
●2022年の主な学校法人の不祥事(1月~10月)
1月 センター試験会場の東大正門前で東海高校生徒が切りつけ
2月 東海大元ラグビー部員、大麻所持疑いで逮捕
4月 日大、空手部キャプテンによる下級生への暴力行為が発覚
4月 熊本・秀岳館高校サッカー部、コーチによる暴行動画が拡散
5月 岐阜共立大野球部、練習中に部員が死亡
6月 京都・洛星中高運営のヴィアトール学園事務局長が5200万円着服
7月 大妻女子大、教員が学生にわいせつで逮捕
8月 宮城・尚絅学院、理事が3億円着服
9月 仙台育英高・空手道部で9人飲酒(顧問が代金を支払い保護者が購入)
9月 同志社大アメフト部部員ら4名が準強制性交等の疑いで逮捕
9月 福岡大、助教が女子高校生にみだらな行為の疑いで逮捕
10月 姫路女学院高校ソフトボール部体罰が発覚し男性教諭解雇
10月 金沢工業大学、実験中の事故で学生と教員がけが
2.私立中高で不祥事が増加しているのか
今年の私立中高の不祥事事例にはアンダーラインを引きましたが5件ありました。あくまで印象論ですが「私立中高を運営する学校法人の不祥事」が目立った、続出した感があります。そこで、知人の私立中高(某県庁所在地の進学校)の校長A氏に「私立中高で不祥事が増加していると感じますか?」と質問を投げかけてみたところ、「『表に出た』=報道が増えただけの印象。増加傾向というより、トラブルに関わる内部情報が流出しやすくなっていると感じます」との回答を得ました。 A氏は上記に加え「学校法人(大学・中高)の危機管理支援の需要は高まっていると感じます。『防止』に意識があっても『発生後の対応』に未熟な学校が多いでしょう。(多くの学校の)校長はじめ教職員は危機対応に素人の集団です。形になっているようで実行力に乏しい環境が多いのでは」と語りました。
※後編に続く
<後編>では、2022年の「熊本・秀岳館高校サッカー部」の不祥事事例からの教訓と、
不祥事の3分類、それぞれの危機に対する傾向と対策についてお伝えします。
(2022/11/15)