プロの目㉒広報担当者にとってのSNSは?
エイレックス入社前の前職は、民間企業の広報部で社外広報の責任者の職に就いていました。そのポジションについていた時は「広報担当者は、一般のお客様視点、その代表である記者視点で自社ならびに自社の商品を常に見るようにしなければ」と、折りに触れ意識するようにしていました。また、広報のプロは、トップの考え方や企業姿勢をステークホルダーに伝える一方、一般の方々が当社をどのように見ているかをトップに伝えることも重要な側面と考えていました。
それが出来ていたかと振り返ると、「ボーダーラインかな」というのが実際のところではないかと思います。
さて、今、広報業務に携わる皆さんにとって気になるものの一つが、SNSではないでしょうか。マーケティングを担当されている方にとってはSNSを通じて顧客の声を聴くことができ、分析すれば「マーケティング戦略の策定や顧客満足度の向上」を図れる便利なーサービスです。
一方、リスク把握やブランディングに関わっている広報の皆さんにとっては厄介な存在でもあります。SNSは情報が瞬時に広がるため、会社に対するたった一つの誤った情報やクレームが大きな問題に発展する可能性があるからです。SNS上のネガティブな情報は、企業のブランドイメージに大きな影響を与えるため、対応が必要な場合が出てきます。SNSでの炎上を防ぐためには事前にリスクを察知し早期に適切な対応をとらなければならず、そのためにSNSの動向を常に監視するという厄介な業務が発生します。企業がSNSに注目し始めたのは2000年代初頭から。なお、皆が煩わしいとおそらく思っている(?)西村氏によって開設されたインターネット上の電子掲示板2ちゃんねる(現、5ちゃんねる)が開設されたのは1999年です。
自身が企業広報に携わっていた10年前はSNSが普及するも今ほどではなく、新聞やテレビ、特に各局が力を入れているテレビの情報番組が気になる存在であり、特に大規模な事件や事故の場合には、テレビやラジオの報道が注視されるため慎重に対応しました。しかし、現代のデジタル社会では、SNSの影響力が非常に大きいため、リスク担当者は情報番組以上に注意を払わなければならない存在になっています。
今広報業務に携わる皆さんにとって、テレビ、新聞、ラジオなどの伝統的なニュースメディアは、広範な視聴者にリーチするため、今も重要な情報源であり注視すべき媒体ですが、Yahoo!ニュースやGoogleニュースなどのプラットフォーム上のニュースは、リアルタイムで情報を提供するためやはり注視が必要なものとなっています。Twitter(X)、Facebook、InstagramなどのSNSはニュース転載による情報の拡散やニュースに対しての個人の意見の拡散が速いため特に注視が必要です。誤情報や風評被害を防ぐためにも重要です。
注視すべき範囲も増え、また、誤情報も多数散見される現在において、広報を担当される皆さんは以前以上に広くアンテナを張る必要があり、また何が正しい情報なのかをしっかり見定める必要もあると思います。
※次回は8月25日(日)更新予定です