危機管理広報

プロの目㉓企業のSNSアカウントが炎上しないためには

SNSは企業の情報を直接発信でき、反応がダイレクトにかえってくるため、広報として活用したいツールのひとつです。しかし、使い方を誤ると炎上に繋がりかねないため運用には注意が必要です。ネット炎上を避けるために留意すべきポイントはどんなことでしょうか。その基本をまとめました。

1. SNS の運用ガイドラインと担当者へのトレーニング

SNS の運用を開始する前には、運用体制や投稿ルール、トラブルが発生した際の対応についてガイドラインを定め、担当者に対しても必要なトレーニングを実施します。

2. 公式 SNS アカウントの情報発信に関する留意点

公式 SNS アカウントで情報発信をする際、以下の内容に該当するような投稿をすると批判を受けやすいので注意が必要です。また、SNS を運用する際には、コミュニティガイドラインなど、あらかじめユーザーのコメントへの対応のルールや禁止事項を決めた上で運用することをお勧めします。

①不謹慎・悪ノリ
例えば、犯罪行為を助長するような投稿をしたり、社会一般の倫理観や道徳観に反するような投稿をしたりすることは避けるべきです。

②差別や偏見を助長するような内容
人種、民族、性別、性自認、性的指向、障害、宗教、出自、容姿などに触れる場合は「批判される可能性はないか」をまず考えましょう。
特に男性、女性、LGBTQ(SOGI)について性別の役割を固定するなどのステレオタイプ的な表現は避けるべきです。

③投稿するタイミング
例えば、過去の大きな戦争や災害に関係する日に投稿する場合、投稿する内容がそうした厳粛な日にふさわしいかへの留意が必要です。また、特定の記念日に関連した投稿をする場合、その日が持つ意味を正確に理解した上で投稿する必要があります。

④他のSNSアカウントに反応する際の留意点
他の SNS アカウントをフォローしたり、好意的な反応をしたりする際には、当該 SNS アカウントのプロフィールや過去の投稿について必ず確認するようにしましょう。過去に不適切な投稿をしている SNS アカウントの投稿に企業の公式 SNS アカウントが好意的な反応をして批判を受けたケースがあります。

3. ネット/ SNS のモニタリング(ソーシャルリスニング)

自社がネット上でどのようにコメントされているか、また、自社に対する批判的な投稿がないかを確認するため、ネット/ SNS のモニタリングを行います。方法としては自社の担当者がモニタリングツール等を用いて実施する場合もありますし、専門会社に依頼する場合もあります。ネット炎上の兆候や拡がりをすぐに把握できるようにしておきます。

4. ステルスマーケティング

2023 年 10 月にステルスマーケティングが景品表示法の規制対象となりました。インフルエンサーに SNS を通じて自社の商品・サービスに関する投稿を依頼する場合などは、一般消費者が誤解しない表示をすることが求められます。例えば、企業側からインフルエンサーに対して金銭を支払ったり、商品を提供したりして、投稿を依頼しているにもかかわらず、大量のハッシュタグの中にそれを示す関係タグが埋もれている、長文の本文の末尾・長時間の動画の最後などに表示していて視認しにくい、関係タグを周囲の文字より小さく表示/薄い色としているなどの投稿は避けるべきです。

いかがでしょうか。「知ってるよ」「当たり前のことだ」と思われたでしょうか。しかし基本を押さえていれば炎上しなかったはず…という事例もありますので、今一度、担当者で確認しておくことが大事です。